「カイさん、私も何かもっとカフェのために出来ること、ありますか?」

「今も十分頑張ってる」

「でも、それじゃあ……」

「…………またなんかあったか?」

 これ以上カイさんに迷惑をかけたら…………カイさんの心労を考えると、言えない。

 こうやって衣食住を与えてくれているだけでも十分なのに……。

「何もありませんよ」

「……そうか」

 カイさんはきっと何かを察しているのだろうけど、私が話さないから敢えてそれを聞こうとはしない。それが多分、カイさんの優しさ。

 絶対に、向こうの世界に帰る前にカイさんに恩返しをしたい。

 カイさんだけじゃなくて、ハトリさにゃスミレさん、ヤクモさん……そして、キキョウさんにも。

 …………そっか……帰るということは、皆と別れることになるんだ……。

 簡単に、こうして会話をすることができなくなる。

 いくらこっちに来られる鍵があるとしても、私の本当の居場所はここじゃない。