「キキョウさん…………好きです」

「え……?」

「あっ、いや……」

 私、何を言ってしまって。

「ありがとう。僕も、好きだよ、真由さんのこと。だから、絶対に破壊しないと。三つの玉を」

「はい……」

 キキョウさんの『好き』をどう捉えればいいのかが分からなくて、でもその瞳から感じる慈しみの思いに救われる。

 大丈夫、キキョウさんが大丈夫と言うなら、きっと大丈夫。

 私は今まで通りカイさんの元で、美味しくて幸せな気分をもたらしてくれるハーブティーを作るだけ。そしたらきっと、伝わる。

「何かあったらいつでも僕のところに来て」

「はい」

 手が離れた瞬間、また触りたいと思ってしまった。

「じゃあ、僕は行くね」

「キキョウさんっ、本当にありがとうございます」

 キキョウさんがいなくなって冷静になると、さっき自分の言った言葉が頭の中で反響して、心臓がうるさいほどに早く動いた。