「やあ、ハーブティー飲みに来たよ。ミコトも一緒にね」

「シドウさん」

 と、もう一人、この前キキョウさんといた女の子……と言っても歳は私と同じくらいで、十五、六に見える。

「ちょっと、いいかしら」

 その人は私を見るなり剣のある声を出す。

 やっぱり、嫌われている…………。

「はい」

 カイさんを見ると、小さく首を縦に振る。

 ミコトさんに連れてこられたのは人気のないカフェの影。
 
「あなた、どうせ今のままじゃ人間界に帰れないわよ」

 それは、絶望とでも言うべき内容。

「え?」

 どうして?

「災いを止められたからと言って、人間に対する憎悪も消えたと思ってる? 人間によって虐められた動物たちの思いはまだ残ってる。あなたはそれによって破滅させられる。それから、キキョウには近付かないで。人間がキキョウに近付くなんて、反吐が出る」

 帰られない? 破滅?

 そんな、だって、災いを終息させたのに……?

 でも、ミコトさんが嘘を言っているようには見えず、その掴めない事実にただ目の前が暗くなるばかりだった。

 その後のことは覚えてない。

 急に体の力が抜けて、ハーブティーを淹れられる状態になんかなくて、そのまま家に帰って眠りについた。