花びらが1枚でも落ちてしまわないようにそっと持つ。早く、早く祠に。
「あ、地図……」
「僕が持ってるよ。さあ、あっちだ」
キキョウさんは山の方を指さす。空は今にも雨か雪が降りだしそうで、先ほどの白色から黒色ににっていた。
天候が荒れてしまう前に祠に行きたい。
「あっ」
興奮しすぎるあまり、脚が絡まり転びそうになる。でも、キキョウさんが大きな体でそれを阻止してくれた。
「ゆっくり、行こう」
キキョウさんは、目の前で深呼吸をして私の呼吸を整えてくれた。
「はい」
山に着くと、道なき道を、なんとか植物を掻き分けながら進んでいく。
植物の刺が時折刺さり、痛い。蜘蛛の巣が私たちの行く道を邪魔するように大きく張っている。
それに、厚い雲のせいでこの土地全体が鬱蒼として不気味さを感じる。
地図があるとはいえ、本当にこの道が正しいのかどうか不安になってしまうけれど、キキョウさんの笑顔を見るとその不安も消え去る。
「あともう少しだから、頑張って」
「はい」
遠くの方に、祠らしきものが見えて来た。多分、あそこだ。
「あ、地図……」
「僕が持ってるよ。さあ、あっちだ」
キキョウさんは山の方を指さす。空は今にも雨か雪が降りだしそうで、先ほどの白色から黒色ににっていた。
天候が荒れてしまう前に祠に行きたい。
「あっ」
興奮しすぎるあまり、脚が絡まり転びそうになる。でも、キキョウさんが大きな体でそれを阻止してくれた。
「ゆっくり、行こう」
キキョウさんは、目の前で深呼吸をして私の呼吸を整えてくれた。
「はい」
山に着くと、道なき道を、なんとか植物を掻き分けながら進んでいく。
植物の刺が時折刺さり、痛い。蜘蛛の巣が私たちの行く道を邪魔するように大きく張っている。
それに、厚い雲のせいでこの土地全体が鬱蒼として不気味さを感じる。
地図があるとはいえ、本当にこの道が正しいのかどうか不安になってしまうけれど、キキョウさんの笑顔を見るとその不安も消え去る。
「あともう少しだから、頑張って」
「はい」
遠くの方に、祠らしきものが見えて来た。多分、あそこだ。