カイさんを見ると料理に集中していて、私の視線には気が付かない。

「あとは、ハーブティー。食後に飲むこれがまたいいんだよね。あとは朝とか」

「いいですね。……カイさんとハトリさんは、お友達なんですか?」

「うん、そうだねえ。幼い頃からずっと一緒。腐れ縁ってやつかな?」

「いいですね、そういう人がいるって」

「まあ、たまに鬱陶しくも感じる時はあるよ。そんな時は1週間会わないとかもあるし」

 カイさんのことを話す時のハトリさんの顔は愛おしそうだった。

 もちろんそれは恋愛とかそんなんじゃなくて、家族愛とかそういうもの。

 って、私が勝手に感じているものだけれど。

「カイになんかされたらすぐに言うんだよ?」

「そ、そんな」

「ははっ、まあ、そんなことはないだろうけどね」

 ハトリさんの話を聞いていると、ふと思い出す自分の家族や友達のこと。

 これから1年会えないんだと思うと、急に底無しの空虚感が襲ってくる。

 おじいちゃん、元気かな。無理してないかな。

「帰りたい?」

「あ、えっと」

「いいんだよ、分かるから。こんなところに来て不安だよね」

「でも、ハトリさんやカイさんと出会えて良かったです」

 この言葉に嘘はない。もしもっと怖い人に見つかっていたら、今頃どうなっていたか。本当に、初めに会ったのがハトリさんで良かった。

「ありがとう」