「え……?」
誰かが、私の反対の手を強く握った。
「キキョウさん……」
「あら、キキョウ。お前はまだ宴に参加していい歳じゃないはず。どうしてここに?」
「腕を、離してください」
シドウさんは、キキョウさんの言葉に素直に従って私の腕を解放した。
「私たちの憎むべき人間、でも私は手荒なことはしたくない。さあ、皆さん。この可愛らしい人間にチャンスを与えるというのはどうでしょう」
わざとらしく『可愛らしい』という言葉を使い、切れ長の目で私を見る。
だけど、刃のように鋭い視線のその中に哀しさを同時に感じた。なんだろう……。
それよりも、きっと初めに会った時から私が人間だと、全てを把握していたんだ。
「チャンス、というのは?」
「キセキバナ、その種を……そうですね、12月31日までに見つけて来れば、真由さんの災いを止めたい、そしてこの街を救いたいという気持ちが本物だとみなし、私はあなたに信頼を差し上げよう。私の信頼は地主の信頼でもある。さあ、どうしましょう、真由さん。まあ、断る理由もないですよね?」
「分かりました。その日までに、必ずキセキバナの種をシドウさんのもとに持ってきます」
「もし出来なかったときには、真由さんの命はない。……しかし、この街を救うためだ、仕方がないこと」
そのことは私も重々分かっている。私のせいで、皆がこの街を失うなんて絶対あってはいけないこと。
「分かっています。私だって、この街が消滅するのは心苦しいですから」
「楽しみにしていますよ」
ふふっと、シドウさんは笑う。
「真由さん、行こう」
キキョウさんに手を引かれ、私はざわつく宴の会場を後にした。
誰かが、私の反対の手を強く握った。
「キキョウさん……」
「あら、キキョウ。お前はまだ宴に参加していい歳じゃないはず。どうしてここに?」
「腕を、離してください」
シドウさんは、キキョウさんの言葉に素直に従って私の腕を解放した。
「私たちの憎むべき人間、でも私は手荒なことはしたくない。さあ、皆さん。この可愛らしい人間にチャンスを与えるというのはどうでしょう」
わざとらしく『可愛らしい』という言葉を使い、切れ長の目で私を見る。
だけど、刃のように鋭い視線のその中に哀しさを同時に感じた。なんだろう……。
それよりも、きっと初めに会った時から私が人間だと、全てを把握していたんだ。
「チャンス、というのは?」
「キセキバナ、その種を……そうですね、12月31日までに見つけて来れば、真由さんの災いを止めたい、そしてこの街を救いたいという気持ちが本物だとみなし、私はあなたに信頼を差し上げよう。私の信頼は地主の信頼でもある。さあ、どうしましょう、真由さん。まあ、断る理由もないですよね?」
「分かりました。その日までに、必ずキセキバナの種をシドウさんのもとに持ってきます」
「もし出来なかったときには、真由さんの命はない。……しかし、この街を救うためだ、仕方がないこと」
そのことは私も重々分かっている。私のせいで、皆がこの街を失うなんて絶対あってはいけないこと。
「分かっています。私だって、この街が消滅するのは心苦しいですから」
「楽しみにしていますよ」
ふふっと、シドウさんは笑う。
「真由さん、行こう」
キキョウさんに手を引かれ、私はざわつく宴の会場を後にした。