「ただいま戻りました」

 カフェに来ると、魚を焼いたような香ばしい匂いや漬物のような発酵の良い匂いが漂ってきて、ますますお腹が空いてしまう。

「ご飯、2人分頼むよ」

「はいはい」

 空いている席に来ると、ハトリさんはわざわざ椅子を引いてくれて私を座らせる。

 なんというか、1つ1つの所作に品があって、素敵な大人というものを感じさせるオーラ。

 ハトリさんだけじゃなくて、カイさんにも大人な余裕の雰囲気があって、だからかな、こんな知らない土地に来てもどこか落ち着いた気持ちでいられるのは。

「ハトリさんは、なんの仕事をしているんですか?」

「僕は医者だよ。何かあったらいつでも診るから言ってね」

「あ、はいっ」

 まさか、お医者さんだっとは。