「それじゃあ、失礼します」

「じゃあ、次は宴の日に」

 シドウさんはわざわざ門まで私たちを見送ってくれる。

 その横に無表情で立つキキョウさんになんだか申し訳なさを感じて、門から出た時にもう1度頭を深く下げてお辞儀をした。

 暫く歩いて街の中に来た時、ハトリさんが大きく息を吐く。

「いやあ、緊張したね」

「は、はい」

「でもあの様子じゃあ多分バレてるだろうねえ。まあ宴まではとりあえず大丈夫そうだけど……」

 普段は鈍感な私でさえ感じたシドウさんの鋭いオーラに、何度も逃げたくなった。

「必ず、どうにかします。だから安心してくださいっ」

「頼もしいけど……絶対に無理はしないように」

「はい……」

 少し暗くなってきている空の下、ハトリさんの下駄と石がぶつかる音を聞きながら家路についた。