「私は、この街もこの街の皆も大好きです」

「そう、それはよかった」

 どうしたら、この人の信頼を得られるの? 私の運命を握るのはシドウさんで、シドウさんに認められるしか他ない。

「楽しみにしているよ、宴」

「はい、ぜひ」

「いいねえ、僕も宴に参加してみたいよ」

 ハトリさんが、会話に入ってくる。

「それでは、来年、お招きしよう」

「ええ、ありがとうございます」

 会話が終わり、ようやくお団子を口の中に入れた。

「お、美味しい」

 みたらしが甘くてほんのりと塩っ気もあって、中にはサツマイモの餡が入っている。

 オレンジ色の蜜の方はカボチャの味がして、中にカボチャの餡が。

「そうだろう? ああ、そうだ。ディナーも食べて行かないかい? せっかくなのだから。専属のシェフに作らせよう」

 私はハトリさんを見た。

「せっかくですが、この後用事がありまして。またの機会ということでどうでしょうか?」

「そうね……。今日はいきなりだったし、次にしましょう」

 その言葉に、ほっと胸を撫で下ろす。正直、これ以上この空気の中に身を置いておくのは息が詰まりそうでどうしようかと思っていたから。