「お待たせしたね。さあ、和菓子を楽しもう」

 見た目に麗しい金色とオレンジ色の蜜のかかったお団子が運ばれてくる。

 それと、これはほうじ茶の匂い? とても香ばしくて緑茶とはまた違った甘みのあるお茶。

 奇麗な琥珀色。

「さあ、遠慮なさらず」

 蜜が垂れないように、上手に十文字を使って食べていく指導さんの姿は、高雅で隙がない。

 どの瞬間、場面を切り取っても完璧で、まるでその様は貴族のようだった。

「ところで真由さん」

 話し方に圧は無くむしろ穏やかだけれど、感じる冷たさ。

「は、はい」

 名前を呼ばれるだけで、緊張で全身に力が入る。

「……宴の準備はどんな感じかな?」

「心満足いくお料理が提供できると、思います」

「そう、それは楽しみね。今年で最後の宴にならないように……しないと」

 シドウさんは妖しく口元をにやつかせた。