3人で話していると部屋の扉が開かれて、流れている雰囲気が一瞬にして冷たくなるのを感じる。

「あらキキョウ、お友達かな?」

「シドウさん……」

 あの人だ。この前カフェに来たあの人。

 それに、夏祭りにあの人たちが言っていた名前と同じ。

「ああ、カフェに居た女の子じゃない。キキョウとも仲良くしてるのね」

 扇子で顔の下半分を隠し、目だけを露わにし私の顔を見る。全てを見透かしたような目に反らしたくなったけど、なんとか耐える。

「シドウさん、何か用事でしたか?」

「うんん、キキョウが誰かと歩いていたというのを噂で聞いてね。興味があって来てみたんだ。それで、あなたは?」

「ああ、僕は医者のハトリと言います。キキョウさんの友人である弟の兄です」

「ああ、それは……。いつもお世話になって。今後ともよろしく」

「ええ」

「そうだ、ちょうどお菓子屋から団子を買ってきてね。よければどうかな? ちょうど4つある。今度の宴の会場もぜひ今案内しよう。ねえ、真由さん?」

「あ、はい……、ぜひ」

 この状況で断れる人なんて多分、100人いたら1人くらい。目は笑っているけれど、有無を言わさない雰囲気が駄々洩れしている。

 私が人間だということ、絶対にばれている。何も言ってこないのはどうしてなのか分からないけれど、目つきが、他の人と私を見る視線が全く違う。

 ハトリさんを見ると、小さく頷いた。

「じゃあ、行こうか」