土曜日。

 今いるのは、まるでよそ者を拒絶するかのように重々しく建っている門の前で、そこにいるだけで変な緊張感が襲ってきて、手に汗をかく。

 ハトリさんと2人そこに立っていると、ひとりでに門が動いてその先に男の子がいた。

「久しぶり、キキョウくん」

「ハトリ兄さん、久しぶり。……その人が僕に用がある人だね?」

 切れ長の目に薄い唇。目立ちすぎないけれど通った鼻筋。風に揺られてなびくさらさらの髪。

 一瞬で、彼に惹きつけられる。そのオーラに声を出すことを忘れてしまう。

「真由ちゃん?」

「あ、えっと、はい。その、本とかを見せてもらえたらと思いまして」

「うん、だいたいのことはヤクモから聞いてるよ。……君、人間でしょ?」

「えっ……」