災いのこと、恋のこと、ハーブのこと、宴のこと、考えることがたくさんあって、脳内は詰まり放題詰まっている。

 そんな脳内を柔らかくするために、大好きなお風呂に。

「はあ、気持ちいい」

 お湯に浸かってリラックスした状態で考えを整理する。

 頭の中がゴミ箱の中身ようにごちゃっとしているといざという時にあたふたしてしまうから。

 ふと、外の空気を吸いたくなってお風呂の窓を開けると、金木犀の香りが風とともに運ばれてくる。

「うわあ、いい匂い」

 秋だなあ、と植物の匂いからも感じることができて、このまま穏やかな時間がずっと流れればいいのにと願う。

 目を瞑ってお湯の暖かさと金木犀の香りを楽しむこと数十分、そろそろとお風呂から上がった。





「夕食、出来てるぞ」

 髪を乾かしてリビングに戻ってくると、さっきの料理がお皿に奇麗に並べられてあり、なんとも贅沢な夕食になっている。

「ごめんな、試作で」

「いえ、全然。すごく美味しそうです」

「よかった」

 ああ、まただ。

 笑顔を見ただけでどきどきと心臓がうるさく動くの。 

 宴の為に考えられた料理は、どれも絶品だった。カイさんんが一生懸命に考えて作ったのものだもの、きっとどんなものでも宴に相応しいものだと思う。