しばらくすると、マリー姉様が庭に現れた。
俺とハクの姿を確認し、叔父へ声をかける。
「お呼びですか。ヴィリー叔父様」
「マリー、急に呼び出してすまない」
「いいえ、今ちょうど休憩をしていたところなんです」
「それはよかった。マリーは聖魔法を取得したよね」
「はい。遅くなりましたが……、やっと、聖魔法を使えるようになりました」
「遅くなんてないさ。よく頑張ったね」
「間に……、合いませんでした」
マリー姉様の声が急に詰まる。
あぁ、そうだった。マリー姉様は、母上の病を治すために、光魔法の修練を欠かさず、ほぼ毎日していた。
聖魔法の取得は、母上のためだったはずだ。
母上が亡くなって四年。マリー姉様は、修練を続けていた。
「ごめんなさい。気が高ぶってしまって……」
「大丈夫だよ」
「お話とはなんでしょうか」
「マリーは『浄化魔法』が使えるのかな」
「お恥ずかしながら、魔力値が足らないようで、まだ使えません」
「そうなんだね。んーー。それは困ったな」
肝心の浄化魔法使えないのか、マリー姉様!
いや、マリー姉様は悪くないんだけどね。光が見えたと思ったら、その先は崖だったみたいな気持ちだ。遠回しすぎるけど、そんな感じだ。
落胆する雰囲気の中、マリー姉様が遠慮がちに話す。
「あの浄化魔法は使えませんが、『浄化の石』はあります」
「『浄化の石』を持っているのかい!?」
「はい。なにかのお役に立てるかと思い、五年ほど前にお爺様に買ってきて頂きました」
「五年前? もしかして『リンネ』のものかい?」
「はい。『リンネ』のものです」
「リンネ製であるなら間違いない。しかも、父さんが購入したものとなれば相当良い物のはず。マリー、それをハクに使用してもいいかい?」
「どういうことでしょうか?」
叔父はマリー姉様に、状況を説明する。
マリー姉様は説明中に「まぁ」「可哀想に」「ひどい」と感想を述べ、ハクに近づくと「すぐに持ってくるからね。もう大丈夫よ」と、淑女らしからぬ動きで庭を後にした。
あぁ、いつぞやの俺への行動と似ていない気はしない。これはハクも過保護対象に入ったかも……。一抹の不安が残る。
とっ、とりあえず、それは後で考えよう。
なにより今は、ハクが魔法を使用できるようになるのだ。
俺は喜びに全身震える。当事者のハクも、尻尾が忙しなく動き、瞳の輝きが増していた。
駆け回って吠えたいのをグッと我慢して、静かに俺のそばに座りなおす。
俺はハクが隣に座ったと同時に、叔父に向き直り、頭を下げた。
「ヴィリー叔父さん、ありがとう!」
「ジークまだお礼は早いよ。それに私は何もしてないからね」
「いいえ、ヴィリー叔父さんがハクを視てくれなければ、原因がわかりませんでした。本当にありがとうございます」
「ガゥーー!(ありがとう!)」
俺とハクは、同時に叔父に抱きついた。
それを簡単に受け止め、叔父の呟きが辺りに響いた。
「まいったな。本当になにもしていないんだけどね」
チート叔父最高だぜぃーー!
俺とハクの姿を確認し、叔父へ声をかける。
「お呼びですか。ヴィリー叔父様」
「マリー、急に呼び出してすまない」
「いいえ、今ちょうど休憩をしていたところなんです」
「それはよかった。マリーは聖魔法を取得したよね」
「はい。遅くなりましたが……、やっと、聖魔法を使えるようになりました」
「遅くなんてないさ。よく頑張ったね」
「間に……、合いませんでした」
マリー姉様の声が急に詰まる。
あぁ、そうだった。マリー姉様は、母上の病を治すために、光魔法の修練を欠かさず、ほぼ毎日していた。
聖魔法の取得は、母上のためだったはずだ。
母上が亡くなって四年。マリー姉様は、修練を続けていた。
「ごめんなさい。気が高ぶってしまって……」
「大丈夫だよ」
「お話とはなんでしょうか」
「マリーは『浄化魔法』が使えるのかな」
「お恥ずかしながら、魔力値が足らないようで、まだ使えません」
「そうなんだね。んーー。それは困ったな」
肝心の浄化魔法使えないのか、マリー姉様!
いや、マリー姉様は悪くないんだけどね。光が見えたと思ったら、その先は崖だったみたいな気持ちだ。遠回しすぎるけど、そんな感じだ。
落胆する雰囲気の中、マリー姉様が遠慮がちに話す。
「あの浄化魔法は使えませんが、『浄化の石』はあります」
「『浄化の石』を持っているのかい!?」
「はい。なにかのお役に立てるかと思い、五年ほど前にお爺様に買ってきて頂きました」
「五年前? もしかして『リンネ』のものかい?」
「はい。『リンネ』のものです」
「リンネ製であるなら間違いない。しかも、父さんが購入したものとなれば相当良い物のはず。マリー、それをハクに使用してもいいかい?」
「どういうことでしょうか?」
叔父はマリー姉様に、状況を説明する。
マリー姉様は説明中に「まぁ」「可哀想に」「ひどい」と感想を述べ、ハクに近づくと「すぐに持ってくるからね。もう大丈夫よ」と、淑女らしからぬ動きで庭を後にした。
あぁ、いつぞやの俺への行動と似ていない気はしない。これはハクも過保護対象に入ったかも……。一抹の不安が残る。
とっ、とりあえず、それは後で考えよう。
なにより今は、ハクが魔法を使用できるようになるのだ。
俺は喜びに全身震える。当事者のハクも、尻尾が忙しなく動き、瞳の輝きが増していた。
駆け回って吠えたいのをグッと我慢して、静かに俺のそばに座りなおす。
俺はハクが隣に座ったと同時に、叔父に向き直り、頭を下げた。
「ヴィリー叔父さん、ありがとう!」
「ジークまだお礼は早いよ。それに私は何もしてないからね」
「いいえ、ヴィリー叔父さんがハクを視てくれなければ、原因がわかりませんでした。本当にありがとうございます」
「ガゥーー!(ありがとう!)」
俺とハクは、同時に叔父に抱きついた。
それを簡単に受け止め、叔父の呟きが辺りに響いた。
「まいったな。本当になにもしていないんだけどね」
チート叔父最高だぜぃーー!