ハクと一緒に、庭へ向かう。
久々の外が嬉しいのか、尻尾がピンと上がっており、お尻が揺れている。
上機嫌だ。時よりガゥッと声を出し、口ずさんでいるようである。
「ヴィリー叔父さん、お待たせしました。ぼくの相棒のハクです」
「ガゥ!(ハクだ!)」
「これはまた……。かわいいね」
叔父はハクを見て、僅かに目を丸くし、優しい表情になる。
鑑定をしたのだろう。
ブラックキャットは、図鑑で調査済みだ。
見た目は、クロヒョウなのだ。そう白虎であるハクの隠れ蓑には一番適している魔獣である。
またステ値も高く上級魔獣の仲間である。ブラックキャットの平均値は20、高い個体で30だ。
魔属性は、闇・土・風が多く、水や雷も確認されている。
ハクの隠蔽ステータスはこれである。
**********************
ハク ブラックキャット・変異種 オス 0才
種族:魔獣
Lv:1
HP:30/30
MP:30/30
魔力:30
攻撃:30
防御:30
俊敏:30
運:30
魔属性:雷・氷
身体スキル:炎耐性Lv1
**********************
叔父が一瞬戸惑ったのは、魔属性の雷・氷のせいかと思われる。
上級属性を二個所持に驚いたのだろう。
魔法を教えてもらうのに、魔属性を隠蔽したら、意味がないからね。
ここは変異種だからで押し切る作戦だったが、受け入れてくれたみたいだ。
叔父は、ハクに近づくと「毛を撫でてもいいかい」と窺っていた。
ハクは無言で叔父の前に座る。もちろん尻尾は嬉しそうに揺れている。
スキンシップは大事だ。
ハクのモフモフを堪能すれば、叔父もきっと折れるはずだ。
俺は機会を逃すまいと、その様子を見守り、ハクに夢中になった瞬間、叔父にお願いした。
「ヴィリー叔父さん、ハクにも魔法を教えていただけるでしょうか」
「魔獣にかい」
「はい。ハクは人の言葉を理解しています。父上に一人で森に入らないと約束しました。ですので、相棒のハクと一緒に行動しようと思います。ブラックキャットは、上級魔獣であると本に書いてありました。魔法も使えるはずなのですが、どうやら魔法が使えないようなのです。適性がないのでしょうか」
「適性は雷・氷だよ。だから安心して大丈夫だよ。相棒としてね……。んーー……。そうだね、原因を知りたいから、一度、魔力循環をしてみてくれないかい」
「魔力循環は……ぼくが方法を教えたのですが、できないみたいで……」
「ジーク大丈夫だよ。ハク、ジークに教わったように魔力循環をしてみなさい」
叔父はそう発言すると、モフるのをやめ、ハクの額辺りに手を置いた。
そしてハクを促し、魔力循環するよう命令する。
ハクは、一度俺に視線を向け、叔父に「ガゥ(わかった)」と魔力循環を始めた。
しばらくして、叔父の手が離れ、ハクが小さく鳴く。
「ガゥッ(ダメ)」
「魔力循環が上手くできていないね。んーー……!! これは、なにか強い魔法を受けたのかい?」
「ガゥ!(そうだ!)」
「はい。ぼくが見つけた時は、全身を焼かれたような火傷がありました」
叔父の問いに、すかさず答える。
それにしても、さすが叔父だ。視ただけで攻撃魔法を受けたことがわかるようだ。
「ジークは、魔法色を知っているかい」
「はい。本で読みました」
「ジークは、炎属性がまだなかったね」
「はい」
「んーー……。おそらくだが、炎魔法を使用した攻撃を受け、その魔法色が残っていたのではないかなぁ。そのまま回復魔法をしたことで、体内に魔法色が入ってしまった。そのせいで魔力循環が正常にできていない可能性が高いね」
「ぼくの処置が悪かったのでしょうか」
「普通ならその処置で問題ないんだよ」
えっ?! でもそれって俺のせいじゃないか?
魔法色が残っている傷は、非常に治りにくい。
高度な技がいるのは知っていた。だが、力技で完治させたのだ。
叔父が諭すように話す。その眼はどこまでも優しい。
「ただね、この術者はかなりの極悪人でね、通常魔法色があっても回復魔法で体内に入ることなんてないんだよ。二重に魔法を掛けられた可能性がある。計算されているね。おそらくその術者以外の者が回復魔法を施した場合、体内に魔法色が残るように呪魔法を掛けたのではないかなぁ」
「それって……。ハクは、このまま魔法が使えないのでしょうか」
「ガゥゥーー(つかえないのか)」
ハクの声が一段と低くなる。
叔父は、落胆するハクと俺それぞれの頭をポンとたたく。
「大丈夫だよ。方法はある。魔法色を消すには『浄化魔法』が有効的だ。ただ私は聖魔法が使えないから『浄化』ができないんだ。『浄化』は聖魔法しかできないんだよ。最近マリーが聖魔法を取得したと聞いているから、『浄化』が使えるか聞いてみよう」
「ガルゥ!「はい!」」
叔父は俺たちの返事を聞くと満足そうに頷き、『報告』の魔法で、マリー姉様を呼ぶ。
久々の外が嬉しいのか、尻尾がピンと上がっており、お尻が揺れている。
上機嫌だ。時よりガゥッと声を出し、口ずさんでいるようである。
「ヴィリー叔父さん、お待たせしました。ぼくの相棒のハクです」
「ガゥ!(ハクだ!)」
「これはまた……。かわいいね」
叔父はハクを見て、僅かに目を丸くし、優しい表情になる。
鑑定をしたのだろう。
ブラックキャットは、図鑑で調査済みだ。
見た目は、クロヒョウなのだ。そう白虎であるハクの隠れ蓑には一番適している魔獣である。
またステ値も高く上級魔獣の仲間である。ブラックキャットの平均値は20、高い個体で30だ。
魔属性は、闇・土・風が多く、水や雷も確認されている。
ハクの隠蔽ステータスはこれである。
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ハク ブラックキャット・変異種 オス 0才
種族:魔獣
Lv:1
HP:30/30
MP:30/30
魔力:30
攻撃:30
防御:30
俊敏:30
運:30
魔属性:雷・氷
身体スキル:炎耐性Lv1
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叔父が一瞬戸惑ったのは、魔属性の雷・氷のせいかと思われる。
上級属性を二個所持に驚いたのだろう。
魔法を教えてもらうのに、魔属性を隠蔽したら、意味がないからね。
ここは変異種だからで押し切る作戦だったが、受け入れてくれたみたいだ。
叔父は、ハクに近づくと「毛を撫でてもいいかい」と窺っていた。
ハクは無言で叔父の前に座る。もちろん尻尾は嬉しそうに揺れている。
スキンシップは大事だ。
ハクのモフモフを堪能すれば、叔父もきっと折れるはずだ。
俺は機会を逃すまいと、その様子を見守り、ハクに夢中になった瞬間、叔父にお願いした。
「ヴィリー叔父さん、ハクにも魔法を教えていただけるでしょうか」
「魔獣にかい」
「はい。ハクは人の言葉を理解しています。父上に一人で森に入らないと約束しました。ですので、相棒のハクと一緒に行動しようと思います。ブラックキャットは、上級魔獣であると本に書いてありました。魔法も使えるはずなのですが、どうやら魔法が使えないようなのです。適性がないのでしょうか」
「適性は雷・氷だよ。だから安心して大丈夫だよ。相棒としてね……。んーー……。そうだね、原因を知りたいから、一度、魔力循環をしてみてくれないかい」
「魔力循環は……ぼくが方法を教えたのですが、できないみたいで……」
「ジーク大丈夫だよ。ハク、ジークに教わったように魔力循環をしてみなさい」
叔父はそう発言すると、モフるのをやめ、ハクの額辺りに手を置いた。
そしてハクを促し、魔力循環するよう命令する。
ハクは、一度俺に視線を向け、叔父に「ガゥ(わかった)」と魔力循環を始めた。
しばらくして、叔父の手が離れ、ハクが小さく鳴く。
「ガゥッ(ダメ)」
「魔力循環が上手くできていないね。んーー……!! これは、なにか強い魔法を受けたのかい?」
「ガゥ!(そうだ!)」
「はい。ぼくが見つけた時は、全身を焼かれたような火傷がありました」
叔父の問いに、すかさず答える。
それにしても、さすが叔父だ。視ただけで攻撃魔法を受けたことがわかるようだ。
「ジークは、魔法色を知っているかい」
「はい。本で読みました」
「ジークは、炎属性がまだなかったね」
「はい」
「んーー……。おそらくだが、炎魔法を使用した攻撃を受け、その魔法色が残っていたのではないかなぁ。そのまま回復魔法をしたことで、体内に魔法色が入ってしまった。そのせいで魔力循環が正常にできていない可能性が高いね」
「ぼくの処置が悪かったのでしょうか」
「普通ならその処置で問題ないんだよ」
えっ?! でもそれって俺のせいじゃないか?
魔法色が残っている傷は、非常に治りにくい。
高度な技がいるのは知っていた。だが、力技で完治させたのだ。
叔父が諭すように話す。その眼はどこまでも優しい。
「ただね、この術者はかなりの極悪人でね、通常魔法色があっても回復魔法で体内に入ることなんてないんだよ。二重に魔法を掛けられた可能性がある。計算されているね。おそらくその術者以外の者が回復魔法を施した場合、体内に魔法色が残るように呪魔法を掛けたのではないかなぁ」
「それって……。ハクは、このまま魔法が使えないのでしょうか」
「ガゥゥーー(つかえないのか)」
ハクの声が一段と低くなる。
叔父は、落胆するハクと俺それぞれの頭をポンとたたく。
「大丈夫だよ。方法はある。魔法色を消すには『浄化魔法』が有効的だ。ただ私は聖魔法が使えないから『浄化』ができないんだ。『浄化』は聖魔法しかできないんだよ。最近マリーが聖魔法を取得したと聞いているから、『浄化』が使えるか聞いてみよう」
「ガルゥ!「はい!」」
叔父は俺たちの返事を聞くと満足そうに頷き、『報告』の魔法で、マリー姉様を呼ぶ。