貴族は『白狩り』でLvUPを終えた後、週に数度、講師を迎え、魔法の基礎、初級魔法を習う。
もちろん俺も白狩りの後、講師を迎えることになった。
俺の白狩りを早めた理由は、俺の魔力値を誤魔化すためである。
Lv3なので、誤魔化せてはいないんだけどね。平均に少しでも寄せたいと思っているんだろうな。
俺が基本値MAXUP+100とは、考えもしないのだろう。知らぬが仏ですな。うんうん。
アーベル家の講師は、叔父ヴィリバルトだ。
チート叔父である。普通の講師を雇うより、何十倍も有能であるのは間違いない。
ゲルト以外の兄姉は、叔父ヴィリバルトを師事している。
ゲルトは、魔術学校の講師だ。
謹慎中であっても、魔法の修練はできるわけで、今日は週一回の叔父の授業日なのだ。
屋敷の庭で、魔法制御を中心に鍛えること一時間、一旦休憩に入ったところで、叔父が切り出した。
「ジーク、魔獣の赤子を拾ったんだってね」
「はい。ブラックキャットの変異種を拾ってきました」
「変異種? またすごいのを拾ったね」
「たまたま懐かれたのが変異種だったんです。変異種といっても毛が白いだけです。すごくかわいいんですよ! ヴィリー叔父さん、ハクを紹介したいのですが、いいですか?」
「ハク? 魔獣の名前かい。もちろんだよ」
「ありがとうございます! 呼んできます!」
叔父の許可がでたので、屋敷にかけ走る。
よしこれでなんとかなるはずだ。叔父がハクの話をしてくれて助かった。
いつ話そうかと様子を窺っていたのだ。
俺は部屋に入ると、ソファの上で寛いでいるハクを呼ぶ。
「ハク、おいで!」
「ガゥッ?(呼んだ?)」
「うん。屋敷の庭へ行こう! そこでヴィリー叔父さんを紹介するよ!」
「ガルゥルル! ガルゥ?(外に出ていいの! ヴィリー?)」
ハクは外に出られると喜び、ソファから飛び降りると、一目散に俺に近づいてきた。
その姿を見て、窮屈な思いをさせて、ごめんなと、心の中で謝る。
頭を優しく撫でながら、事情を説明する。
「そうだよ。ヴィリー叔父さんは、最上級の魔術師だ。だからハクにも魔法を教えてもらえるように交渉しようと思うんだ」
「ガゥ!(いいの!)」
「うん、魔法の使い方がわからないんだよね」
「ガゥー(そう)」
実はハク、魔法が使えないのだ。
逃走中に使った氷魔法は、たまたま発動したようなのだ。
そんなことあるのか? と疑問に思ったが、聖獣は生態がほとんどわかっていない。
残念ながら、我が家の書庫にもなかった。
一応、魔力循環の方法などを説明したが、ダメだった。
そこでチート叔父だ。