ハクは、俺と魔契約したことで、誰かに従属されることはなくなった。
そのため、捕縛されることはない。逆に素材目当てで、狙われることはあるだろう。
だが魔契約や調教している魔獣を狙うことは、犯罪となるので、そうそうないと思う。
表向きハクは、ブラックキャットの変異種だ。貴重だが、わざわざ犯罪を犯してまで、狙う必要はないからだ。
素材は購入すればいいし、なければ自身で狩りに行くか、冒険者ギルドへ依頼をすればいいのだ。
それが、希少種の聖獣だとわかれば話が変わるが…………。
ハクを撫でる手に力が入る。
「俺はいずれ冒険者になる予定だ。たくさんの世界をこの目で見るんだ」
「ガゥ?(どうしたの?)」
「ハクは、俺の相棒だから、もちろんついて来るだろう?」
「ガウッ!(行く!)」
「うん。だけど世の中には、俺たちより強い者が多くいる。同じことが起きないように、俺たちは強くなる!」
「ガウッ!(強くなる!)」
俺の言葉を聞き、ハクは興奮して立ち上がり、叫んだ。
その声はいささか大きく、侍女たちが慌てて部屋に来るほどだった。
「「「ジークベルト様、大丈夫ですか!」」」
「心配掛けてごめんね。ハクが興奮して声を出しただけなんだ」
「ガウゥゥー(ごめんなさい)」
「「「かっ、かわいい!」」」
ハクの反省ポーズに黄色い声が上がる。
侍女たちの黄色い声に、ハクは驚き、俺にすり寄る。
そんな状態のハクを見て、侍女たちは一層興奮し、各々がしゃべりだす。
「きゃー。ジークベルト様に寄りかかっているわ。かわいい」
「ねぇ、ねぇ、この構図、すごくよくない。かわいすぎる!」
「あぁー。他の子たちが羨ましがるわ。かわいい! 自慢しよう! きゃー、かわいい!」
「これから毎日この光景が見られるなんて、至福だわ。ジークベルト様付きになったことに感謝するわ」
「アンナさんに報告しなくては!」
かわいいのは否定しないが、最後のアンナへの報告とはどういうことだ。
最後に発言した侍女に詰め寄ろうとするが、侍女の動きは素早くすぐさまこの場を後にした。
くっそーー。逃げられた。
あの侍女は、最近、俺付きになった新人だったはず。
くっ、アンナの手下だったのか。報告が気になるぞ。
俺たちさえ、巻き添えにされなければいいけど……。
想像しただけで、背筋に寒気が走る。
鬼教官再び。ガクブルッ。
侍女たちの行動は、他の貴族家では考えられない不敬の状況だが、我が家、特に俺の前ではこれが当たり前なのだ。
以前、侍女たちに畏まった感じは嫌だ。自然がいいと訴えた。
初めは躊躇したが、なんとあのアンナが許可した。度が過ぎるとアンナの説教と言う名の教育がはいる。
だが優秀な侍女たちだ。場所や場面を考慮して対応している。そこらへんの抜かりはない。
ハクは、屋敷に馴染みはじめている。
まぁ、すごくかわいいので、屋敷の人たちも、魔獣だからだと怯えることもなく、受け入れてくれた。
マリー姉様には、怪我をした魔獣の赤子の手当をしたら懐かれてしまった。
なぜ魔獣の赤子がいたのかはわからないけれど、このまま放置することもできず、連れて帰って来てしまった。
人(悪人以外)は、襲わないように育てるから、飼っていいよね。
ごくごく簡単な説明をした。
魔契約は高度な技術のため、調教することを全面に出した。
調教師などが、魔獣の赤子を調教することは、一般的ではある。なかには懐かれて、調教師でもないのに、魔獣を飼っている人もいるのだ。
調教自体は、珍しいことではない。ただ、飼っている人は少ないけどね。
俺は、姉様に最大限のお願いをした。
子供ができる最上級の仕草で、ノーとは言わせない可愛さをただよわせる。
俺の行動をハクも理解したのか、上目遣いキラキラの瞳で「ミャァー」と鳴いた。
ハク! その仕草で『ミャァー』だと、グッジョブ!
それにしても、なんてかわいい声が出せるんだ。かわいい、俺の聖獣が可愛すぎる!
「もぅ……。私がジークのお願いを断れるはずがないじゃない。はぁーー。わかったわ。お父様には私から伝えておくわ」
二人の協力タッグで、マリー姉様は不承不承ながら了承してくれた。
ただ父上は甘くなかった。
夕食後すぐに、執務室へ呼び出された。
マリー姉様が上手く説明してくれたおかげで、ハクが白虎であることはバレなかった。
だけど、ハクと遭遇した場所の追及が強く、危うく『沈黙の森』に行ったことがバレそうになった。
ブラックキャットが『白の森』に生息していることは、ほぼないのだ。
大きな怪我をしていたことを説明し、捨てられた、もしくは捕縛されかけ逃げたのではないかと意見した。
父上は、俺の言葉に納得はしていないようだったが、一人で『白の森』へ入ったことは、すごく怒られた。
これからは誰かを伴って入ることを約束し、二週間の謹慎を言い渡された。
そのため、捕縛されることはない。逆に素材目当てで、狙われることはあるだろう。
だが魔契約や調教している魔獣を狙うことは、犯罪となるので、そうそうないと思う。
表向きハクは、ブラックキャットの変異種だ。貴重だが、わざわざ犯罪を犯してまで、狙う必要はないからだ。
素材は購入すればいいし、なければ自身で狩りに行くか、冒険者ギルドへ依頼をすればいいのだ。
それが、希少種の聖獣だとわかれば話が変わるが…………。
ハクを撫でる手に力が入る。
「俺はいずれ冒険者になる予定だ。たくさんの世界をこの目で見るんだ」
「ガゥ?(どうしたの?)」
「ハクは、俺の相棒だから、もちろんついて来るだろう?」
「ガウッ!(行く!)」
「うん。だけど世の中には、俺たちより強い者が多くいる。同じことが起きないように、俺たちは強くなる!」
「ガウッ!(強くなる!)」
俺の言葉を聞き、ハクは興奮して立ち上がり、叫んだ。
その声はいささか大きく、侍女たちが慌てて部屋に来るほどだった。
「「「ジークベルト様、大丈夫ですか!」」」
「心配掛けてごめんね。ハクが興奮して声を出しただけなんだ」
「ガウゥゥー(ごめんなさい)」
「「「かっ、かわいい!」」」
ハクの反省ポーズに黄色い声が上がる。
侍女たちの黄色い声に、ハクは驚き、俺にすり寄る。
そんな状態のハクを見て、侍女たちは一層興奮し、各々がしゃべりだす。
「きゃー。ジークベルト様に寄りかかっているわ。かわいい」
「ねぇ、ねぇ、この構図、すごくよくない。かわいすぎる!」
「あぁー。他の子たちが羨ましがるわ。かわいい! 自慢しよう! きゃー、かわいい!」
「これから毎日この光景が見られるなんて、至福だわ。ジークベルト様付きになったことに感謝するわ」
「アンナさんに報告しなくては!」
かわいいのは否定しないが、最後のアンナへの報告とはどういうことだ。
最後に発言した侍女に詰め寄ろうとするが、侍女の動きは素早くすぐさまこの場を後にした。
くっそーー。逃げられた。
あの侍女は、最近、俺付きになった新人だったはず。
くっ、アンナの手下だったのか。報告が気になるぞ。
俺たちさえ、巻き添えにされなければいいけど……。
想像しただけで、背筋に寒気が走る。
鬼教官再び。ガクブルッ。
侍女たちの行動は、他の貴族家では考えられない不敬の状況だが、我が家、特に俺の前ではこれが当たり前なのだ。
以前、侍女たちに畏まった感じは嫌だ。自然がいいと訴えた。
初めは躊躇したが、なんとあのアンナが許可した。度が過ぎるとアンナの説教と言う名の教育がはいる。
だが優秀な侍女たちだ。場所や場面を考慮して対応している。そこらへんの抜かりはない。
ハクは、屋敷に馴染みはじめている。
まぁ、すごくかわいいので、屋敷の人たちも、魔獣だからだと怯えることもなく、受け入れてくれた。
マリー姉様には、怪我をした魔獣の赤子の手当をしたら懐かれてしまった。
なぜ魔獣の赤子がいたのかはわからないけれど、このまま放置することもできず、連れて帰って来てしまった。
人(悪人以外)は、襲わないように育てるから、飼っていいよね。
ごくごく簡単な説明をした。
魔契約は高度な技術のため、調教することを全面に出した。
調教師などが、魔獣の赤子を調教することは、一般的ではある。なかには懐かれて、調教師でもないのに、魔獣を飼っている人もいるのだ。
調教自体は、珍しいことではない。ただ、飼っている人は少ないけどね。
俺は、姉様に最大限のお願いをした。
子供ができる最上級の仕草で、ノーとは言わせない可愛さをただよわせる。
俺の行動をハクも理解したのか、上目遣いキラキラの瞳で「ミャァー」と鳴いた。
ハク! その仕草で『ミャァー』だと、グッジョブ!
それにしても、なんてかわいい声が出せるんだ。かわいい、俺の聖獣が可愛すぎる!
「もぅ……。私がジークのお願いを断れるはずがないじゃない。はぁーー。わかったわ。お父様には私から伝えておくわ」
二人の協力タッグで、マリー姉様は不承不承ながら了承してくれた。
ただ父上は甘くなかった。
夕食後すぐに、執務室へ呼び出された。
マリー姉様が上手く説明してくれたおかげで、ハクが白虎であることはバレなかった。
だけど、ハクと遭遇した場所の追及が強く、危うく『沈黙の森』に行ったことがバレそうになった。
ブラックキャットが『白の森』に生息していることは、ほぼないのだ。
大きな怪我をしていたことを説明し、捨てられた、もしくは捕縛されかけ逃げたのではないかと意見した。
父上は、俺の言葉に納得はしていないようだったが、一人で『白の森』へ入ったことは、すごく怒られた。
これからは誰かを伴って入ることを約束し、二週間の謹慎を言い渡された。