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「ジークベルトは、大丈夫なのか」
「精神的に疲れて、いまはマリーと一緒に寝ているよ。念のため確認したけれど、後遺症はない。マリーたちの適切な処置のおかげだよ」
「あぁ、感謝している」
「兄さん、ゲルトはどうなの」
「駄目だ。何を言っても聞く耳を持たない。ジークベルトへの恨み辛みだけだ」
「鑑定もしたけれど『洗脳』はされていないよ」
「そうか……」
「外部からの魔道具の干渉も考えられるけれど、私が結界を張っている屋敷内にまで影響があるとすれば、日常的に汚染された可能性も低いながらあるよ。魔術学校が怪しいね」
「だろうな。父上がこの件を聞いて、ゲルトを引き取ると言っている」
「また父さんは……」
「俺は、その提案をのむつもりだ。厳しい決断かもしれないが、我が家の敷地内には、二度と入れない。どのような結果であってもだ。まずは魔術学校の内部を洗い出す。協力してくれ、ヴィリバルト」
「了解です」
「調査の結果、考えたくはないが、万が一、ゲルト個人の感情から生じたのであれば、俺はさらなる決断をしなければならない」
「兄さん。私たち大人にも責任はあるさ」
「あぁわかっている。ゲルトは我々大人の被害者でもある。俺は教育を間違えてしまった。アルベルトにも協力はしてもらう」
「アルベルトは、知っているんだね。了解したよ」