夜闇に浮かぶ、白い影に
あなたはさぞかし驚いたでしょう。

大きさはヒトの大人ほどのものや、
赤子サイズのものまであり様々です。

ヒトの大きさだからといって、
オバケが全員あなたを待って、目の前で
じっと立っているわけでもありません。

うずくまる姿に見間違えられた白猫。
夜風にゆらめくのは捨てられたレジ袋。
脱走した子ヤギ。

夜間に干された白いふんどしや股引(ももひき)
シーツなどもあなたは勘違いしました。

今どきふんどしの発見は、
オバケの発見よりもレアでしょうね。

干されたつなぎの隣にあるシャツを見て、
首吊り自殺の霊とも言い始めたのには
笑いが止まりませんでした。

死んでも尚、縊死(いし)を続けるオバケならば
よほどの自殺好きかもしれません。
未練も無さそうなものです。

山に灯る光を見て鬼火だと思った時もありました。
あそこは有名なキャンプ場です。

夜間は気温と共にヒトの体温が下がる為に、
悪寒を覚えたり普段とは異なる感覚を味わい
何も居ない場所を恐れる傾向があります。

虚空を見上げる犬猫にさえ、
恐怖を感じて怯えるヒトも居ます。

単なる木目や天井の模様を怨念としたり、
鏡のシケ(金属錆)を不吉に覚え、
終いにはカメラの顔面認証の影響で
コンセント穴まで恐怖の対象となるでしょう。

スマホのライトで照らした
カメラに映る暗闇の中、
目には見えないセンサの誤認識さえ
オバケと疑いはじめたらキリがありません。

あなたは見えないものに怯えているけれど、
それは全て勘違いに過ぎません。

わたしはずっとあなたの後ろに居るのだから。