「お前といると、寿命が毎時3秒ずつ縮んでんな」

前方モニターに『It's starting up now……』の文字が浮かんだ。

「立ち上げにどれくらいかかるんだ?」

「15分。その間に旧式のマニュアルでも見とけ」

時刻を確認する。

時計は13時03分を指していた。

ガクンと機体が動き、振動が始まる。

『Update is completed. Restarting now……』

駆動音が狭い室内に響きわたる。

無数の計器は、暴走を始めたかのように動き始めた。

「これって、もしかして更新後の再起動ってやつ? 電源入れちゃダメだったやつ?」

「やれと言われたら、やるんだろ!」

竹内の声が震えている。

嫌な予感なんてものじゃない。

これは、確信だ。

「隊長、遠隔操作システム、セットアップ完了しています。手動操作方法なお不明。機体は起動待機中」

「了解。ベストを尽くせ」

とたん、都庁館内一斉放送が始まった。

「ただいま緊急情報が入りました。都庁ホームページに、庁舎内に爆発物をしかけたという書き込みが発見されました。警察の指導により、緊急点検を行います。現在庁舎内におられる方は、至急外に避難してください」

警報が鳴り響く。

同様の勧告が何度も繰り返される。

モニター画面は勝手に切り替わった。

庁舎前広場に避難した人々が集まり始めている。

「姉ちゃん?」

その群衆の中に、姉の姿を見つけた。