確かに多忙なため2人でやると効率がいいが、今まで
それでやっていた。
 なのに第二秘書をつけるなんて、自分の力不足を
指摘されているようであまりいい気がしない。

「まぁ、そんなに怒るな。
 これでもお前の負担を減らしてやっているんだ!
それに、栗本の腕も期待しているしな」

「恐れ入ります」

 無表情で頭を下げる栗本さん。
何だか余計に社長の言葉がムカついた。あぁ、そうですか……。

「承知致しました」

 納得いかないが、社長が決めたのなら従うしかない。
理不尽だけど……。
 結局、私と栗本という人の2人で秘書の仕事をする事になった。

 社長室から出てすぐのデスクが2つすでに設置されていた。
 私は、無言でパソコンのキーボードを打っていた。
すると何だか視線が痛い。
 チラッと見ると栗本さんからの冷たい視線を送られていた。

なっ……何なの!?
 そうしたら栗本さんは、無表情のまま私に話しかけてきた。

「佐久間さんって社長の愛人っていう噂があるのですが
本当の事なんですか?」

「はぁっ?ち、違うわよ。
あれは、噂で愛人なんかじゃないですから」

私は、慌てて否定した。
 まぁ今は、微妙な関係になっているけど自分は、そんなつもりはない。

「それなら、いいのですが。
 我が社にとったら社長は、大事な人です。
社長のイメージダウンになる事は、避けて下さい」

 栗本さんは、無表情で私に忠告をしてきた。
その言葉に胸がズキッと刺さった。社長のイメージダウンか……。
 確かに愛人など悪いイメージがあるのは、会社にとったら良くない事かも知れない。
 部下に示しがつかないし……。

「……分かっています。それぐらい」

「夏希~今日の夕食は、何だ?俺、煮込みハンバーグが食べたい」