コイツ……。確か前に香奈子が一度でも寝れば
気が済むとか言ってなかったっけ?
むしろ前より大胆になっているような気がするんですけど!?
直接胸を触ってくる社長に腹が立ってきた。
「社長…いい加減にしてくだ…」
キレる寸前でいると
「おや?これは、お取り込み中だったかな?」と言いながら
社長室に入って来る人物が現れた。
「た、田所様!?」
邪魔をされて社長は、怪訝そうな顔をするが
私は、慌てて立ち上がった。
嫌だ。変なところを見られてしまったわ。
「やぁ、夏希ちゃん。しかし、君も仕事中なのによくやるなぁ~新堂」
「田所か。別に俺が何をやろうがいいだろ?」
「まぁ、確かに」
田所様は、そう言うとニヤリと笑った。
彼は、田所涼太郎様。広告代理店の取締役で社長の古くからの友人でもある。
我が社の広告を何度も引き受けて貰っている上に
わざわざこうやって足を運んでもらっていた。
ちなみに彼も社長同様にイケメンのため
社内の女性社員達は、キャーキャーと騒がれていた。
「ほら、頼まれていた広告。わざわざ俺が持って来てやったぞ!」
「お、サンキュー。ほぅ…なかなかの出来だな」
田所様は、ソファーに座りながら封筒を差し出すと
社長は、それを受け取り出来上がった広告を封筒から出して確認した。
すると満足そうだった。
この2人って…確か高校からの知り合いだっけ?
私は、社長室から出ると給湯室に向かいお茶を淹れながらそんなことを考えていた。
そして淹れたお茶を社長室まで持って行くと田所様の前に置いた。
「ありがとう。夏希ちゃん」
ニコッと微笑んでくれた。
確かに社長同様に騒がれるのも頷ける。
落ち着いていて物腰の柔らかいイケメンだ。