まだ諦めてないのか、ドアを開けようとしてきた。
まったく。油断も隙もないのだから。
 ハァッ……とため息を吐いた。

 とにかく部屋に戻させて急いで洗い流すと服に着替えた。
と言っても同じ服装だけど……。
 頭もささっと乾かして出ると社長は、私を見て
怪訝そうな表情をしてきた。

「何で服を着てるのさ?こういう場合は、普通バスローブか
バスタオル1枚ではないのか?」

「勝手に社長の理想を押し付けないで下さい」

 私の服装に不満そうだった。
何で私が、誘惑まがいな事をしないとならないのよ?
 そうではなくても忘れたいのに……。
私は、呆れて言うと納得いかない様子だった。

「え~酷い。俺の甘い願望を壊す気なのか!?」

「願望って…とにかく酔った勢いなので忘れて下さい」

「嫌だ。俺は、絶対に忘れたくない!!」

 社長が忘れたくないと駄々をこねてきた。
私は、忘れてくれないと困るのよ!!
 とにかく早くこの部屋から出たい……。

「と、とにかく失礼します」

 頭を下げて部屋から出ようとした。
だが、社長に腕を掴まれ阻止させられる。

「何処に行く気だ?まさか、今から帰ってその足で会社に来る気か?
遅刻するだろ。ここからだと」

 うっ……。それを言われると辛い。
確かにもうこんな時間だし……でもこのままでは。

「無遅刻無欠席だよな?もちろん。
なら、どうするか分かるよな?」