怖かった……本当に襲われるかと思った。
泣いている私に社長は、ずっと抱き締めてくれる。
するとハッとした。棗は!?
「棗は!?大人しいけど……」
慌てて棗が居るダイニングテーブルの方を見た。
そうしたら寝ているし……。
あれだけ騒いでいたのに棗は、椅子に座ったままスヤスヤと眠っていた。
さっきお昼寝したばかりなのに……。
意外とマイペースなのだろうか?社長に似て。
「そういえば、何故分かったのですか?
私が危ないって。帰宅にしては早いですし」
「えっ?あぁ、たまたま近くに寄ったから立ち寄っただけだ!
それよりレオンが来たんだ。これから、さらに警戒しないと」
何だか誤魔化された気がするけど偶然でも助けに来てくれて助かった。
今回は、社長が居てくれて良かったけど
また現れたら何だか不安になっていく。
次また現れたら、どうしたらいいのだろうか?
『えぇっ?そんな事が大丈夫だったの?夏希』
その夜に香奈子から電話がかかってきたのでレオンの事を話した。
香奈子は、凄く驚いていた。
「うん。タイミングよく社長が助けに来てくれたから助かったわ」
『それなら良かったけど、これから十分気をつけてね?
次は、もっと酷くなるかも知れないから』
確かに。これで、レオンの嫌がらせが終わったと思っていない。
笑っていたし気をつけなくては……。
しかし注意を払いながら何日が過ぎてもレオンの気配は、まったくなかった。
何も無いのが逆に何か有りそうで怖いとさえ思う。
だが、その予想は、当たる事となった。
私は、警戒をして時間を変えながら買い物に行った。
だが黒いスーツ姿にサングラスをした怪しい男達に待ち構えられていた。
「佐久間夏希だな?ちょっと我々と共に来てもらう」
「はぁっ?何を勝手な事をそんなの行く訳ないじゃない」
まさか、レオンの手先?逃げなくちゃあ……。
そう思った瞬間だった。後ろから誰かに抑え込まれる。
布みたいなのを口に当てられ息ができない。