「え~いいじゃん。
先に結婚したからって生意気よ?涼太郎」

「そうよ、そうよ!」

「まさか、弟に先に行かれるとは…悔しいわね」

 次から次へと文句が飛んだ。
田所様は、呆れたようにため息を吐いた。

「先に行ったって……それは、姉貴達が行かないからだろ?」

「うわぁー生意気。弟のくせに。結婚したら偉い訳?
こっちも結婚したいわよ!」
 
さらに文句が飛んだ。
 凄い……。田所様が、女性に対して期待をしない事や
冷静な理由が何となく分かった気がした。
 確かに、こんな強烈なお姉様達がそばに居たら……。

「申し訳ない。姉貴達は、義妹が出来たって浮かれててさ。
 実家に行くといつもこんな感じだよ!
だから、早めに一人暮らしを始めたんだけどな」

「ちょっと~涼太郎。こっちにも来てよ!」

「はいはい。俺……新郎なんだけどな」

 苦笑いしながら田所様は、行ってしまった。
どうやら見かけに寄らずに苦労人のようだ。
 思わず香奈子達と笑い合ってしまった。

 香奈子は、お義姉様達で苦労をしそうだが
きっと幸せな生活が待っているのだろう。
相手が田所様ならなおさらだ!
 そして、結婚式が過ぎ香奈子と田所様は、
新婚旅行のお土産を届けに来てくれた。

「どうだったの?新婚旅行のグアムは?」

「凄く良かったわよ~もう涼太郎と
海で泳いだりドライブしたり……そうしたらね」

「うんうん……」