私は、思わず下に下ろした手から慌ててスマホを奪い取った。
そして背中を向けながら皮肉を込めて言った。
「そうです。別にいいではないですか。
私だって恋愛したいです」
「そんな所に行かなくても俺が居るだろ?」
はぁっ!?何を言っているのよ?この人は……。
皮肉に言ったはずが思わない返答が返ってきた。
何であなたなのよ!?
「そ……そんなのお断りします。私は、合コンに行くので」
そうキッパリと言うと社長は、ムッとした表情をしてきた。
えっ?何でムッとされるのよ……?
真実を言っただけなのに。
「夏希がそういう子だったとは、残念だよ。
君は、もっと聡明な子だと思っていたのに
それなのに俺を捨てて余所の男に入れ込むとは、ガッカリだ!」
っておい…誰が俺を捨てたことになるのよ!?
まるで私が浮気や悪い事をしているみたいな言い方しないでよ?
「言っておきますけど私は、独身ですし。
あなたとは、社長と秘書の関係であって
付き合ってる訳ではありませんからね!?」
しかも言い寄られてはいるが不倫をしている訳でもない。
また変な誤解だけは、されたくない。
余計にややこしくなるから。
すると社長は、しくしくと泣く真似をしてきた。
「そうか。俺とは、ただの遊びだったんだな!?
酷い女だ。お前は……」
「ちょっとそれでは、私が悪女みたいじゃないのよ?
そもそも捨てるも何も……」
あぁ、また余計に話をややこしくしているし。
社長の態度にイライラして言い返そうとした時だった。
「あの…お取り込み中、申し訳ないのですが」
ハッと気づくと男性社員が立っていた。
ま、まずい……。また変な噂が流れてしまう。