しばらくするとコーヒーが運ばれてきた。
私と田所様は、コーヒーに口をつけると
「それで、話って何だい?新堂には、言っていないのかな?」と聞いてきた。

「はい。あの……香奈子の事なんですが……」

「香奈子ちゃん?」

 田所様は、不思議そうに首を傾げた。
前に笑い所が似ているとかいい印象を持っているみたいだった。
 だが、気が合うと恋愛は別物だ。
田所様は、香奈子の事を恋愛対象として見てくれているのだろうか?

「今日の朝……電話があって元気なさそうだったんです。
泣いていたみたいで、会社も休んで」

「えっ?何かあったのかい?それは、心配だな」

 田所様は、驚きながらも心配そうな表情をしていた。
あなたが原因です!と言いたかったが探ってみることにした。

「何か心当たりとかありませんか?」

「……いや、別に何もないけど?」

 キッパリと否定された。
あまりにもキッパリと即答をされたので拍子抜けをしてしまった。
 少しは、考えて欲しかった……。

「もしかして、俺が原因?」

 田所様は、すぐさま自分の事だと感じ取ったらしい。
うっ……バレた。社長と同様に勘が鋭いようだ!

「まぁ……そういう事になりますかね……?」

 何とも曖昧な返事をしてしまう。
こうもアッサリと見破られると言いにくい。
 だが説明しないと分かってもらえないし……。

「ふ~ん、なるほど。
まぁ、大体は、何か言いたいか見当がついたよ!」