「う~ん。無いわねぇ~。
聞く話だと身体が弱いらしいけど」

「他には?」

 「あと何処かの名大を首席で卒業した社長令嬢とか、
上品な感じの凄い美人だったかしら?」

 恵美が奥さんに対して聞いてきたので私は、説明した。
あくまでも確証のない噂程度だけど……。

「うわぁ~かなりハイスペックじゃないのよ!?
居るもんなのねぇ~そういう人って」

 香奈子は、感心するように言った。
そう言われると胸が痛んだ。
 正直その噂を聞いた時は、落ち込んだ。
そんな人が社長の奥さんになる事には、理解が出来る。

 社長令嬢でハイスペックな美人。
きっと社長と並ぶとお似合いの夫婦だろう。
 そんな人が居るのに。何故あの人は、
私にちょっかいをかけてくるのだろうか?天性の女好き?

 それとも、ただの興味本位のお遊び程度なのだろうか?
不倫なんだから本気な訳がないだろうし。
 考えれば、考えるほど分からなくなっていく。
気持ちがモヤモヤしてきた。

 あんまりそれ以上踏み込んだらいけない気がする。
知れば、知るほど彼に興味を抱いてしまうから

「ハァッ…こうも社長の事で悩むなんて。
これでは、まともな恋愛が出来ないわよ」

 ため息混じりに愚痴をこぼした。
すると香奈子は、思い付いたように
「あら、それなら。今度の合コン…あんたも来る?」と
私を誘ってきた。

 えっ?合コン?
私は、驚いて目を見開いた。
「実はさ~私の会社の子達とエリートを集めて
やる事になったんだけど良かったらあんたも来る?」

 エリートを集めた合コン……。
なんて素晴らしいの。私は、飛び付くように香奈子の手を握った。

「行く……行きます。行かせて下さい」