袴田くんが亡くなって、二カ月後の春。よく晴れた日に私は進級した。

 進級して教室も変わったのに、私の席は窓際の席の隣だった。
 先生もクラスメイトも気味悪がっていたが、あの噂が広まってからは誰も聞かなくなった。

 でもこれだけはわかってほしい。
 一番気味悪がっているのは、他でもない私であることを。
 そして今日も、袴田くんが近くにいることを。


『あー……良い天気だなぁ』

 いつもの屋上はフェンスの貼り換え工事が入ってしばらく立ち入り禁止にされていたが、ここ最近ようやく解放されるようになった。

 今日も袴田くんはお気に入りの給水タンクの上で昼寝をしていた。
 相変わらず金髪と黒の二連ピアスの目立つ容姿の彼には、私以外誰も気付かない。

『あれ、岸谷は?』
「ちゃんと授業受けてたよ」
『おお。真面目クンに戻ったか?』
「真面目クンって……今度の大会、助っ人で呼ばれたんだって」

 あの件から、岸谷くんは袴田くんの姿が見えなくなった。
 何がきっかけなのかはわからないけど、以前と比べて表情が柔らかくなった気がする。

 部活には戻れないけど、助っ人として呼ばれることも増えたらしい。……そしてまた、ファンクラブの人数が急激に増えたとか。
 たまに睨まれることもあるから何とかしてほしい。