テキパキと働く私に課長が言った。

「上杉くん…具合は…大丈夫なのか…?」

あっ…そうだったわ…。

こんなに元気そうな姿で…

課長が疑うとも思わず…

なんて浅はかなの、私は!

「えっと…はい…。少し…楽になりました…」

「そうか…それなら良かった…。申し訳ない病み上がりの君にこんな事をさせて…」

病み上がりだなんて…

そもそもどこも怪我をしていないし、元気なの…。

ただ…

あなたを想って心がちょっと…弱くなっているけれど。

紅茶は未開封だったためか思ったより劣化してはいなかった。

私は紅茶を注ぐため食器棚を物色した。

(てい)のいい素敵な紅茶茶碗が目に入り、思わず開けて手に取った。

「課長。このカップ使っても宜しいですか?」

「ん?」

そう言って振り向いた課長の顔が…

固まった…。