「とにかく手続きは総務に行って俺がしておく。君は何も心配せずに、身辺にだけ気を配っていてくれ」

「はい…、ありがとう…ございます…」

「フッ…もっと頼ってくれよ。今までは頼りにならなかったかもしれないが、これでも一応年相応の経験はしてるからな。君が一人で悩んでいるのは…俺も辛い」

課長はそう言って、優しい穏やかな瞳で私を見つめた。

ああ… もうダメ…

ずっと自分の気持ちに気付かない振りをしてきた。

でも…もう誤魔化す事なんて出来ない。

私は…

私は完全にあなたに…

心を奪われてしまったわ…。

どうしようもなく…恋い焦がれてしまった…。

今までなんとも思っていなかったけれど

その長い脚も、程よく筋肉のついた腕も…

勿論その端正な顔も…

全てが私を魅了している…。

自分の気持ちをはっきりと自覚した途端、私は隣にいる事すらも恥ずかしくて思わず歩幅が狭くなった。

そんな私にもいち早く気付いてくれる課長…。

「どうした?気分でも悪いか?どこかで休憩した方がいいか?」

そう言って私に顔を近づけて覗き込む。

ああ…ダメよ…。

その精悍な顔を近づけないで…

心臓が爆発してしまいそうになるじゃないの…。