翌日検査の結果も良好だった私は、バイトを休んで迎えに来てくれた兄と一緒にアパートへ戻った。

「なんともなくてホント良かった。昨夜メールもらった時はまだ仕事中だったから…。後から見て驚いた…」

「ごめんなさい。病院の消灯が早いから電話にも出られなくて…。心配かけてしまったわね…」

「メールで詳細はわかったからそれはいいさ。それより、体はなんともなかったけど、精神的には大丈夫か?事故の時のショックとかはないか?」

「ええ。それは大丈夫よ。それよりも会社にも迷惑をかけてしまった事が気になってるの…。納品に行く途中だったから…」

「仕事は誰かが代わりにやってくれる。綾の体の交換はきかないんだぞ?だからそんなに落ち込むな」

「そうね…。課長にも似たような事を言われたわ」

「課長に?」

「ええ…。代わりに納品に行ってくれたみたい」

「そうなのか。思ってたよりまともだな」

「え?」

「いや…。綾の話聞いてたら、頼り甲斐のないヤツかと思ってたからさ」

「仕事上は頼りになるのよ?ただ…今一つ本心が読めない人だから…。プライベートな話はしにくいの」

兄にはそう言ったが、事故の報告をした時の課長は随分と印象が違った。

常に仕事優先の人とは思えないくらい、商品の事よりも私の事を心配してくれていたような気がする…。

電話の声からも、微かだけれど動揺が伝わって来たし…。