私は自分の事よりも商品がどうなったのかが気になり、荷台の中に入った。

潰れた段ボールを開封してみるとやっぱりへこんでいる缶がたくさんある。

あらら…これじゃ納品出来ないわ。

「あの…スミマセンでした…。今、警察呼んだんで…」

声で気付き、荷台から降りる。
そこにはさっきの中年男性が申し訳なさそうに眉を下げて立っていた。

「あ…、えっと…、大丈夫ですよ?」

「いや、いけません!交通事故はその場ですぐに処理しませんと…」

「でも…私、得意先に向かう途中でして…」

「ご迷惑おかけして申し訳ありません。でも事故証明出さないと保険もおりないし、自費で修理に出したらかなりかかります。お宅は被害者側ですから…そんな事になったら会社が黙ってないかと…」

そうなのね…。
事故なんて初めてだから知らなかったわ。

「わかりました。警察が来るまでここにいます」

「あと…、やっぱり病院にも行かれた方が…」

「え?どこも怪我してませんよ?」

「外傷はなくても、むち打ちとか、後からくるものもあるんで…」

「そうなんですか…」

「今どこか気分が悪いとか、ないんですね?」

「はい」

「それなら、警察の実況見分が終わってから、病院に行って下さい!」

「はぁ…」

私は相手の言うがまま曖昧に返事をするしかなかった。