仕事を始めるようになって少しずつ今までの自分を振り返ってみると、いかに精神的にも自立できていなかったかがわかる。

この年になってようやく親離れなんてね…。

「それより、綾。なんかあったんだろ?いきなり俺に電話してきたのは…」

兄は小さな頃からいつも私の些細な変化も見逃さない。

そしてそんな時は必ず適切なアドバイスで私を救ってくれた。

だから私はこの兄にだけは絶大な信頼を寄せている。

「お兄さん…実は…とても悩んでいる事があるの…」

私は兄に抱えている不安を洗いざらいぶちまけた。