兄は大学を卒業してからすぐに新聞社に勤めていたが、ある日突然作家になりたいと言って新聞社を辞めてしまった。

現実主義者の父は夢を追う兄を痛烈に非難し、勘当を言い渡した。

激しい口論の末兄は家を出て行った。

あれからもう七年…

その間兄は一度もうちに連絡を入れなかったし、私にも連絡をくれなかった。

携帯も変えていたし、私からは連絡をとれなかったけれどある日突然兄からメールをもらい、新しい番号を教えてもらったのだった。

兄が何故保ち続けた沈黙を破ったのか、その時の私にはわからなかった。

でも今ならわかる。

きっといつかあの時代遅れの父に反発する日が来る。

その時私が頼れるのは兄しかいない事を誰よりもわかっていたのだろう。

事実、そうなっている。