お兄さん…

父と口論した後母と話して、私は兄を懐かしく思い出す。

兄が出て行ってから今日初めて私は兄の辛さが本当の意味で理解出来たような気がする。

どうしているのかしら…

両親はどうなのか知らないけれど、兄は私に連絡先を教えてくれていた。

自分と同じように私が父に束縛された時の事を予想しての事だったのかもしれない…。

思い切って電話してみよう…。

しばらくぶりに携帯の電源を入れる。

現れたのは夥しい数の着信だった…。

怖い…。

とにかく家を出なければ。

ここから兄に電話をする訳にはいかないから。

私は家を出てそのまま駅へ向かった。

なるべく賑やかな通り、人通りの多い通りを選ぶ。

まさか私の自宅まで露呈してはいないだろうけれど油断は出来ないわ。