私はふと思い出した。

先日落合の店を訪れた時、コインロッカーの鍵を失くした事を…。

遺失物受付に届いていたんだから誰かが拾って届けてくれたのは間違いない。

もしその誰かが…

熊…、だったとしたら?

鍵がどこに落ちていたのかはわからない。

恐らく作業をしていた売り場の辺りだろう。

あの時ユウヒビールの担当者もいた筈だけれど、ずっと売り場に張り付いていたという保証はない。

トイレに行く事だってある。

たまたま熊が売り場に来た時、誰もいない状況で鍵を拾ったのかもしれない。

普通なら拾った鍵はそのまま遺失物受付に届ける。

でも熊は…

好奇心からなのか何なのかわからないけれど、遺失物受付に届ける前に鍵についているロッカーの番号を見て、開けていたかもしれない。

開けてみて中に入っている荷物は私の物だとわかるのは容易い。

いつも持っているバッグや上着も、熊なら熟知していてもおかしくない。

しかも熊は私がいつも作業の前にあそこのロッカーを使用している事を知っている。

まさか…?