どこかで落としたのかしら…?

だったらあの時…

ユウヒの担当者とぶつかった時ね。

もう一度売り場に戻って辺りを探してみたが、見つからない。

どうしよう…。

次のアポイントメントまでもうそんなに時間がないし…。

仕方なく私はダメ元でサービスカウンターの遺失物受付へ向かった。

従業員にコインロッカーの鍵を失くした事を話す。

番号を控えておいたのでその番号を言うと、従業員が笑顔で「届いております」と言った。

誰かが拾って届けてくれたのね…。

助かったわ。

幸いその後は熊に会う事もなかった。

いつもなら私が終わるのを待ち構えて、ご丁寧に見送りまでするのに。

私としては見送りなんて必要ないし、なんだかんだと私の個人情報を聞き出そうとする熊がいないのは誠に嬉しい限り。

さすがに毎回毎回見送りするのはまずいと思ったのかしら?

それなら寧ろ有難いわね。

私は少し気分がよくなってお店を後にした。

でも…

その日の夜から、ヘンテコりんな電話に悩まされる事になった。