笑顔を返して特設売り場に向かう。

うちの他に最大のライバル社であるユウヒビールの営業担当も来ていた。

「お疲れ様です」

ユウヒの営業担当者は伊藤さんくらいの男性。

「あ、ホテイさん、お疲れ様です!」

この人はとても気さくで、ライバル社の私にも気軽に色々と教えてくれる。

小売り店の知識が全くなかった私に色んな事を伝授してくれたのも彼。

でもこの人からは私に対する特別な感情は伺えない。

そういうのってなんていうのか、オーラみたいなものが出ていてわかるのよね。

この人からはそれを感じないの。

だから私も気軽に色々話せるし、なんといっても私より年下みたいだからちょっとペットみたいな感覚かしら?

伊藤さんが忠犬ハチ公だとしたらこの人は小型の洋犬て所ね。

元気一杯で饒舌だから…
さしづめスピッツ?

スピッツほど騒がしく吠えたてるような事は勿論ないけれど。