「上杉くん…聞いてる?」

訝し気に考え込む私に、課長が再び声を掛けた。

「あっ。はい、聞いております…」

「それでね、異動先は営業部なんだ」

営業部?  

同じ管理部門のどこかならいざ知らず。

営業部とは畑違いにも程がある…。

「営業部…ですか…?」

課長は無言で頷いた。

営業部…。うちの会社の花形。

でも私のように管理部門の、それもかなり特殊な、社員教育にしか携わって来なかった者が行くような部門じゃない。

経験だってないし、何より…

営業に必要とされる笑顔が…うまく作れない。