兄に全てを話して帰宅したのは深夜に近かった。

「お帰りなさい」

「綾子…まだ起きてたのか?先に寝ててくれてよかったんだぞ?」

「お仕事で疲れてるのに…先に寝るなんて出来ないわ」

綾子…すまない…。
真実を告げずにいる俺を労わってくれて…

「綾子。実は今日は…仕事じゃなかったんだ…」

「えっ?」

「騙すつもりではなかった…。ただ言いにくかっただけで…帰ってから真実を話すつもりだった…」

「何故?もう隠し事はしないって約束したでしょう?」

「すまない…。でもこれだけは…俺のケジメとして先に解決させてから君に報告したかった…」

「どういう事なの?」

「お兄さんの所へ行っていた…」

「え?」

兄という言葉を出すと、途端に綾子の表情が和らいだ。