「そこは教授だからある意味プロだよね。けど安曇野さん、腹が立たなかったの?自分から墓穴掘っといて、別れてくれだなんて言われてさ」

「腹が立つどころか…どうすれば綾子の気持ちを繋ぎとめられるのか、そればかりでした。知己にも頼って…情けないですが…」

「兄として謝ります。俺たち家族は皆綾を甘やかしすぎたんですよ。アイツは昔っからかわいくて勉強も出来て。羽目を外すような事しなかったから」

「芯が強くて立派な女性です。きちんと人を見る目もあります…。私の事はその…客観的に分析は出来ませんでしたが、それは致し方ないと思います…。恋愛はほぼ初めてだと言っていましたから…」

「ほんと、出来の悪い妹でスミマセン」

兄はバツが悪そうに頭を下げた。