兄は続ける。

「綾もあれから一切電話してこなくなりました。だから俺…安曇野さんからいつかかってくるんだろうって…ずっと待ってたんです…」

「お兄さん！本当に申し訳ありませんでしたっ！」

「まぁそれは…いいですよ。で、綾とは？どうなったんです？」

「無事に…復縁致しました…」

「そうか…そりゃ…ほんとによかった…」

「今までの無礼、幾重にもお詫び致します…」

「詫びはいいですって。その代わりと言っちゃなんですが、理由を教えてもらえませんか？」

「理由…と言いますと？」

「綾があなたに別れを宣告した理由ですよ。アイツのワガママだろうとは思うけど、あそこまで惚れぬいた安曇野さんと別れようと思うくらいの理由って何だろうなって。純粋に疑問なんです」

世話になったお兄さんには真実を話さなければならないと思うが…

内容が内容だけに、話してしまって綾子が気分を害したとしたら…