ホテルに戻り、きっと気を揉んでいるだろう成田にすぐ電話した。

詳細は省いた。
それは桜井本人の口から聞いた方が成田も嬉しい筈だと思ったからだ。
ただ、さほど感触は悪くなかったとだけ告げた。
成田はそれだけで粗方理解してくれたようだった。

アイツと別れ際に渡したシャツをいたく気に入ってくれ、早速着ているとも言ってくれた。

『安曇野、結婚式には絶対呼んでくれよ』

「当たり前だ。お前にはスピーチを頼む」

『赤裸々にしゃべってもいいのか?』

「そっ、それは…、お手柔らかに…頼む…」

『わかった、わかった!楽しみにしてるわ』

「じゃあな…。進展があれば教えろよ」

『了解』

電話を切った後もほんのりと温かい気持ちに包まれている。

親友の為に骨を折る。
こんな単純な事が、こんなにも気分を高揚させるなんて知らなかった。
綾子と出会ってからの俺は確実に人としても成長している。

人間いくつになっても成長出来るものなのだな…。
その事を綾子、君が教えてくれた。