「ん?」

「本当に…今までの安曇野くんとは大違いね…」

「変わったのならそれは全てこの綾子の存在だ。彼女と出会って、恋に堕ちて…俺は自分でも知らなかった自分を見つける事が出来た…。人を恋する気持ち、妬む気持ち、憎む気持ち…全ての感情が綾子故のものだ…」

「…すごいわね…。あなたをそこまで変えるなんて…。黒猫ちゃんはただの猫ちゃんじゃなかったのね…」

「あの…どうして私の事、黒猫ちゃんって呼ぶんですか?」

「なんとなくあなたのイメージかしらね?漆黒のロングヘアと、勝ち気な大きい瞳。どう見たって黒猫ちゃんじゃない?」

「お前にとっては黒猫でも、俺にとっては女神か天女だ」

桜井は俺の発言にまたしても固まった。

「だから…直人…その発言だけは控えて頂戴…」

綾子が俺に苦言を呈する。

「事実だから仕方ない。俺は世辞は言わない。それは君も知っているだろう?」