だがそれは想定内の事だ。
俺の事はきれいさっぱり諦めてもらわねばならない。
そして本当に自分を想ってくれているのは誰なのか、悟らせなければならない。

食事が中盤まで進むと桜井が言った。

「それで…成田くんがどうのって…どういう事なの?」

「ああ。お前、成田がお前の事をどう思っているのか知っているのか?」

「何それ?どうもこうもないでしょう。ただの同期なんだから」

「本気でそう思ってるのか?」

「…そうよ…。それ以上でも以下でもないわ…」

「お前が成田の事をその程度にしか思っていなくとも、アイツは違う」

「何なの?意味がわからない…」

「本当はわかっているんじゃないのか?わかっていて…知らない振りをしているんじゃないのか…?」

「知らない振りも何もわからないからわからないって言ってるの。気持ちが悪いからはっきり言ってよ」

「成田は…アイツはずっと…会社にいた時からお前に惚れてる」

「…嘘…」

「俺が嘘の為にわざわざお前に会いに来ると思うか?今までの事を思い返してみろ」

「……」

桜井は黙り込んで考えている様子だった。
そして漸くその重い口を開く。