エステサロンに着くと、綾子の姿を見て店員が驚愕の表情に変わる。

「まぁ…なんてお綺麗な…。エステだけでなく、全てコーディネートされたのですか…」

ほとんど呆気にとられたような店員の言葉に綾子が恥じらいながら俯く。
俺は勝ち誇ったように言った。

「これだけでもまだ足りないくらいですがね」

「ホホ…ご主人様は本当に奥様を愛してらっしゃるのですね…。羨ましいですわ。奥様は施術を受けなくても充分肌艶が宜しかったの、頷けますわね」

それはつまり。
愛の営みの為せる業と言いたいのか?
大正解だ。

戦闘態勢を整えて俺たちは待ち合わせのホテルへ向かった。

歩いて行けない距離でもなかったが、綾子を疲れさせたくなかった俺はタクシーを呼んでもらった。

「贅沢が過ぎるわ…」

「歩いて君を疲れさせたくない」

「ちょっとくらいなら大丈夫よ?」

「いや…夜は長いからな」

一瞬キョトンとした表情になったが、すぐに真っ赤になって俯く。