綾子の気に入った香りのボディオイルをこっそり頼んでおいたのだ。

「ねぇ、直人。エステに何か用事?」

「頼んでいたものを取りに行く」

「えっ?なあに?頼んでいたものって」

「君がいたく気に入っていたオイルがあったろ?あれを販売してくれると聞いてな」

「ちょっと…直人。私にお金を使い過ぎよ…」

「いくら金をかけても足りない」

「散財は良くないわ…」

「綾子…これは散財とは言わないぞ?これは投資と言うんだ」

「投資?」

「既に美しい君ではあるが、更に美しくなる為に必要な事だ。ただあまりにも美しすぎると俺が釣り合わなくなるがな…」

「直人…そんなにまで…してくれなくていいのに…」

「綾子…。今夜は特別の上の特別だ。アイツに…会うのがこれで怖くなくなったろ?」

「直人…。気付いて、たの?」

「当たり前だ。俺はいつでも綾子の機微を捉えるのが得意だからな」

「ありがとう…大好きよ…」

「その言葉だけで充分だ…さあ、行こう」