でも会社のツケを背負わなきゃならないのは私たちの宿命だと言われると、複雑なのも否めなかった。

伊藤さんは会社と心中にならなきゃいいと言ったが、そんなの冗談じゃない!

誰がこの会社と心中なんてするもんですか!

私は伊藤さんに怖い事を言わないで下さいと言ったが伊藤さんは軽い冗談のつもりだったようで。

言っていい冗談と悪い冗談があるのよ…?

本当に会社と心中なんて勘弁して欲しいわよ。

そう思って項垂れる私に、課長はとどめを刺すような言葉の刃を放った。

「追い討ちをかけるようで悪いが、明日からはそれぞれ一人で営業にまわってくれ。俺は俺で個人商店をまわる。今までのお詫びと、今後の契約について話をするつもりだ。必要と判断すれば君たちも連れて行く事になるが、まずは俺が行って謝罪してくる」

明日から…一人で、ですって?

課長への対抗意識で、孤軍奮闘すると口走ってしまった…
私への当て付け?

それにしてもいきなり明日からだなんて!

課長は私の言葉に嘘偽りがないかどうか試すつもりなの?

まだ営業のイロハもわかっていない私を…

正確には伊藤さんもだから私一人への当て付けだと決めてかかるのは早計だけれど。

でも…

いくら私が啖呵を切ったとはいえ、普通ならしばらくは同行するでしょう?

あなたを上司として認めた訳ではないけれど、いないよりはいた方がマシ程度には思ってあげていたというのに。

部長にも言われていたし、一人でまわる事に対してある程度の覚悟はしていたわ。

だけどそれが現実の事となると妙に重たい物がのしかかってくる。