「成田お前…。アイツと…桜井とはただの同期の関係だけだったのか?」

俺の質問にわかりやすく動揺したのか、成田は飲みかけのビールを零した。

「それ以外何がある?」

冷静さを装っているが俺にはわかる。

コイツは桜井と…
同期以上の関係を結んだのだ。

「綾子の前でなんだが、アイツと特別な関係になったんじゃないのか?」

「ちょっと…直人くん…」

綾子が隣から俺の腕を掴んで止めようとしたが。
俺は止められなかった。

「そうだよ…」

「で…お前の気持ちはどんどん募ってったって訳だ」

「そりゃそうだろ?一途に惚れた女だぜ?募って当然だろーが!」

「だけど桜井は…違った…」

「そうだよ!…アイツは…俺にお前の面影を重ねてた…」

「俺とお前じゃ全く見てくれも違うのにか?」

「俺だってわかんねぇよ…。けどアイツ……一度だけだけど…寝言でお前の名前を口走った…」

「最低だな」

そこで貝のように口を噤んでいた綾子が静かに言った。

「桜井さんも…辛かったんじゃないでしょうか…」

「え?」

驚いて発言したのは俺だった。